ASTM D5528およびISO 15024に準拠したGIc 試験 / DCB試験
ASTM D5528あるいはISO 15024に準拠したGIc試験は、モードI 荷重下における複合材積層板のき裂発生およびき裂伝播に対する臨界層間エネルギー解放率を決定するために実施されます。使用される試験片形状によって、この試験は一般にDCB(二重片持ち梁)試験と呼ばれます。
航空宇宙分野における複合材構造のレイアウトおよび設計に対する、この試験方法とこの材料特性の重要性により、エアバス(AITM 1-0005)やボーイング(BSS 7273)にも特殊な業界規格が存在します。しかしながら、これら(エアバスやボーイングの規格)はASTM D5528 および ISO 15024と比較して、結果計算において面積法と呼ばれる異なる手順を使用します。
GIc試験の目的とアプリケーション
繊維複合材におけるデラミネーションは、積層板内の個々の層が剥離または非接続状態になることを指します。このような損傷や欠陥は積層板の機械的特性を低下させるため、複合材構造にとって特に致命的です。
好ましくない荷重状態下で、現在の複合材が 持つ層間エネルギー 解放率の臨界値に達すると、積層板内でき裂伝播が発生します。き裂面に対して垂直な引張力によってこれが発生する場合、モードI 荷重と呼ばれます。
ASTM D5528またはISO 15024に準拠したDCB試験(二重片持ち梁 ) を使用すること で、モードI 荷重下における臨界層間エネルギー解放率の発生および伝播値を確実に決定することが可能です。
ASTM D5528 & ISO 15024に準拠した試験の実施
DCB試験片の荷重印加要素(荷重ブロックまたはヒンジ ラグ)は、試験機の試験片チャックに接続 されます。積層時に挿入した剥離フィルムの端にできる初期き裂は、鋭利さに欠けることが多いため、材料本来のGIc値を示さない場合があります。この ため、試験前に一度き裂をわずかに進展させ、シャープな予き裂を作製します。作製した予き裂の長さを正確に測定した後、試験片から荷重を完全に取り除きます。DCB試験の第2段階では、予き裂が側面に施されたマーキングの終端に達する まで、試験片 に再度荷重が印加 されます。
臨界エネルギー解放率の発生値 (予き裂と完全なき裂伝播の両方に適用)に対して3つの異なる評価基準がISO 15024に規定されています。
- 非線形性( NL ) の発生試験片半分の純粋な弾性変形が生じている間、試験中の荷重-変位曲線は最初は線形 です。荷重-変位曲線に非線形性が生じ始める点の荷重および変位の値を用いて、発生値が算出されます。
- 目視可能なき裂進展の開始 ( VIS )き裂進展が目視可能となった時点の、荷重-変位曲線上の荷重および変位の値を用いて、発生値が計算されます。
- たわみ基準 (5% または 最大)この評価基準では、荷重-変位曲線の初期線形部分のコンプライアンス(たわみ)が5%減少した(低下した)時点の荷重および変位の値を測定します。もし前述の基準(5%低下)に達する前に最大荷重が記録された場合、その最大荷重点における荷重および変位の値が計算に使用されます。
各発生値(積層時のき裂、あるいは予き裂)の計算には、その時点の初期き裂長が使用 されます。ASTM D5528の現行版では、臨界エネルギー解放率の発生値を決定するために、コンプライアンス(たわみ)基準のみが使用されます。
き裂の進展値は、試験片側面に付けられたマークを基準に、各き裂の長さと、その時点での荷重・変位の組み合わせから算出されます。亀裂進展は試験片の測部からビジュアルにモニタリングされます。荷重、変位、およびき裂長の記録が同期されていることは非常に重要です。
き裂長さは、オペレーターが拡大鏡でき裂進展を追跡する手動の方法、あるいはビデオ記録システムを用いたコンピューター制御で評価することができます。
両規格では、R曲線 ( 臨界エネルギー解放率をき裂長さに対してプロットしたもので、発生値と進展値を含む)を計算するために異なる評価方法が使用されます。
- ISO 15024には、修正梁理論( CBT )に基づく計算と、修正コンプライアンス校正 (MCC)法に基づく計算が含まれています。
- ASTM D5528は、コンプライアンス校正(CC)法を使用し、他の方法を付録に記載 しています。ここでCC (コンプライアンス校正) 法に限定したのは、モードII 荷重下でASTM D7905に 従って決定されるG2c破壊靭性値との間の比較可能性を確保するためです。
ASTM D5528 and ISO 15024に準拠したGIc 試験の試験治具
ツビックローエルの一軸卓上型材料試験機は、ASTM D5528およびISO 15024に基づくGIc 試験に特に適しています。
GIc 試験に自動ビデオ記録システムを使用することで、き裂進展の測定はトラッキング可能となり、より便利になります。デジタルカメラが、試験片に発生したき裂進展を記録し、試験全体の動画を作成します。作成された動画を使用することで、疑義が生じた場合にも個々の試験を遡及的に確認でき、き裂の進展に応じて測定値を修正することも可能となっています。
testXpert試験ソフトウェアは、GIc試験の実施と評価を大幅に簡素化します。一つには、カメラがtestXpertに接続されているため、画面上でき裂進展を手軽にトラッキング出来るようになります。一方、testXpertには、ASTM D5528とISO 15024の規格に準拠した臨界層間エネルギー 解放率の発生値と進展値を計算するための全ての手法を含んだ、事前に構成された規格プログラムが搭載されています。
