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ISO 10113 r-値の決定

ISO 10113に準拠した縦方向異方性(r-値)の決定

オフセット降伏強度引張強度、塑性伸び、破断ひずみ硬化指数(n値)に加えて、r-値、より正確には垂直異方性は、引張試験で決定される典型的な特性値の1つです。これらの値はすべて金属の特性評価に使用され、研究開発分野だけでなく、品質試験や受入試験でも測定されます。関連規格には、ISO 10113、ASTM E517、JIS Z2254などがあります。

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ISO 10113のr-値とは?

r‐値は、一軸引張応力を受けた金属試験片の”真塑性幅ひずみと真塑性厚さひずみの比”です(DIN EN ISO 10113からの定義)。

r-値を計算するには、均一伸び中の真塑性幅ひずみと厚さひずみを測定する必要があります。しかし、厚さの変化よりも長さの変化を測定する方がはるかに容易であるため、この規格は、最大力Ag(均一伸び)までの範囲で体積が一定であるというモデルに基づいています。最大力Agにおける塑性伸び計r- ひずみまで体積が一定であると仮定すれば、厚さの変化を長さの変化に置き換えてr- 値を求めることができます。

r-値の測定

r‐値が1と仮定した場合、幅と厚さの変形が同じ程度に変化する等方性材料となります。この値が1を超えている場合は、幅方向への変形がより大きいということになります。この値が1を下回っている場合、厚さ方向への変形がより大きいということになります。

ISO 10113のプロセスとメソッド

ISO 10113の規格ではr‐値の決定に対して3つの手順と2つの試験方法を定めています。

3つの手順:自動手順では、伸び計を用いて伸びと幅の変化の両方を測定します。さらに、伸び計を用いて伸びのみを測定する半自動手順と、幅と厚さの変化の両方を測定する手動手順があります。伸びは手動で測定されます。

手動および半自動手順の場合、r値は一点法に従って決定されます。ここでは、r-値は特定の塑性伸び度(例えば、塑性伸び2%および5%における値の決定)で決定されます。

自動手順では、さらに回帰法のオプションが提供されており、これは発達過程、すなわち全ひずみ範囲をカバーします。指定されたひずみ範囲における真塑性縦ひずみと真塑性幅ひずみから得られたデータを使用して、傾きを決定します。

回帰法を使用したメソッドにより、シングルポイント法(通常、2%、5%の塑性伸びに基づいて決定される)の場合のようなスナップショットではなく、全領域にわたって平均化されるため、より信頼性の高いr‐値測定が可能となります。

ISO10113における変更点:全ゲージ長さの評価

2020年まではISO 10113のr値の決定は、金属材料が一様伸びAgまでの範囲で平行部長さ内にテーパリングを示さないという仮定に基づいていました。これに基づいて、幅は試験片の中央で部分的に決定され、この値は標点の全長に適用されるとされてきました。しかし、実際には一様伸び間でも、材料により多かれ少なかれテーパリングは発生しています。1よりも大きなr値を持つ材料において、その挙動は明らかに測定可能です。この点は多くの研究で確認されています。

より現実的な計測を行うには、材料のテーパーリングが含まれるため、r値は標点長さ全体にわたって決定される必要があります。

こういう理由から、ISO10113の規格は2020年8月に改正されました。

より再現性の高いr-値のためのISO 10113(2020-08)の変更

2020年版から、ISO10113(2020-08)は”標点距離全体に理想的に均等に分散された複数のポイントにおける幅の変化を瞬間的に幅減少を測定できる伸び計”の使用を推奨しています。

規格の変更に伴い、現実的な試験結果が決定され、高い再現性が達成されます。加えて、幅と伸びの測定は同じの試験片体積が用いられるためメソッドは理解し易くなりました。

ツビックローエルは特にこの規格に推奨しビデオ伸び計 T-160 Hpを提供しています 。この幅計は計測範囲全体に均等に分散された10を超える測定軸を計測します。ISO 10113に準拠した現実的な r値を測定するだけではなく、 r値試験用に特別に開発されているため非常に高精度の測定が可能となります。

ISO 10113に準拠した様々な材料のr-値の例

rm-値

r-値

深絞り鋼 DC041.850.70
IF 鋼 DC062.150.55
等方性鋼 H250G11.050.00
TRIP 鋼 TRIP7000.85-0.02
Dual-phase 鋼 H300X0.95-0.10
ステンレス鋼 X5CrNi18-101.00-0.30
アルミニウム AlMg5Mn (soft)0.66-0.21
アルミニウム AlSi1,2Mg0,4 (T4)0.640.20
銅 Cu0.80 - 0.95
青銅 CuSn1.00
真鍮 CuZn37 soft0.91-0.03

ビデオ伸び計T-160 HPによるr値計算

ISO10113に準拠したビデオ伸び計 T-160 HPによるr-値の決定

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