衝撃試験機による衝撃試験
振り子式衝撃試験には4つの標準的な試験方法があります:
- シャルピー試験 (ISO 179-1, ASTM D6110)
- 計装化シャルピー試験 (ISO 179-2)
- アイゾット試験 (ISO 180, ASTM D256, ASTM D4508) 及び "ノッチのない片持ちの衝撃" (ASTM D4812)
- 衝撃試験 (ISO 8256 and ASTM E1822)
- ダイナスタット衝撃試験 (DIN 53435)
ISO と ASTM 衝撃試験の違い
ISOによる試験では、各振り子ハンマーは、公称初期ポテンシャルエネルギーの10%〜80%の範囲で使用できます。ASTMではこれが85%まで許容されています。
ISOとASTMの基本的な違いは振り子サイズの選択にあります。ISO規格では、振り子のサイズ間のオーバーラップは非常に小さいことが多いですが、可能な限り最大の振り子ハンマーを使用する必要があります。この要件は、試験片貫通時の速度損失をできるだけ低く抑える必要があるという考えに基づいています。ASTMでは、標準の振り子ハンマーの定格初期ポテンシャルエネルギーは2.7ジュールで、それ以上のサイズはすべて2倍にすることが推奨されています。ここでは、範囲内で最小の可能なハンマーをテストに使用する必要があります。
シャルピー衝撃試験 (ISO 179-1, ASTM D6110)
ISO 10350-1の単一点データの規格から言えば、ISO 179-1に準拠したシャルピーが推奨される試験方法です。試験は、端面衝撃(1eU)のあるノッチのない試験片で実行するのが好ましいとされています。試験片がこの試験アレンジにて破損しない場合、試験はノッチ付き試験片を使用して実行されます。したがって、試験結果は直接的に比較で出来ません。ノッチ付き試験片を使用しても試験片が破損しない場合は、衝撃引張法を採用します。
シャルピー衝撃試験の利点:
- アイゾッド試験とは対照的に、シャルピー試験は適用範囲が広く、層間剪断破壊や表面効果を示す材料の試験に適しています。
- さらに、シャルピー法は低温での試験に適しています。試験片サポートがノッチから離れているため、試験片の大事な領域へ熱伝達が防止されます。
計装化シャルピー衝撃試験 (ISO 179-2)
力の時系列をプロットすることにより、高品質測定技術を使用した二重積分により、高精度の力/時間曲線が可能です。得られたデータは様々な用途で使用されています。
- 材料の挙動への理解を深める追加の特性値
- 破壊靭性特性値
- 力/変位曲線を使用して、オペレーターに依存しない自動破断タイプの決定
測定値曲線は常に特性変動を示します。これらは、試験片の形状、寸法、およびポリマーの弾性率に相関している周波数を持つ試験片の変動です。
計装化のもう一つの大きな利点は幅広い測定レンジです。通常の振り子衝撃試験機と違い、エネルギーの替りに荷重を測定しています。測定制御装置により、公称力の1/1000程度の正確な測定が可能であるため、測定可能な衝撃エネルギーの下限は、通常、試験の継続時間と測定要素の固有振動数によって決まります。このため、ISO 179-2に記載されている測定範囲全体を、2つの計装された振り子ハンマーでカバーすることが可能です: 2.9 m/sの衝撃速度用の5ジュールの振り子と、3.5 m/sの衝撃速度用の50ジュールの振り子。これと同じく、アイゾットと衝撃引張も計装化されます。


試験は落下高さ1mを使用して実行されます。これは、4.43 m/sの衝撃速度に相当します。落重のポテンシャルエネルギーは、試験片が吸収する穿孔エネルギーの2.73倍以上である必要があります。これにより、規格に確実に準拠する、速度低下を衝撃速度の最大20%に制限しています。
特に、ポリカーボネートなどの粘性ポリマーの場合、圧子の先端で摩擦が発生し、試験結果の大幅な誤差につながります。このため、規格では、圧子は軽く潤滑する必要があるとされています。
低温で試験をするには、十分な時間試験プレートを試験温度に調整する必要があります。試験温度によっては、市販のクーラーを使用できます。市販のクーラーは試験装置の近くに配置してください。試験実行には、試験片をクーラーから取り出し、落重試験機セットします。試験片セット後2,3秒で試験を行います。
HIT 230F 落重試験機 試験片テーブルへ簡単にアクセスが出来るようにデザインされています。.両手リリースボタンでクランプし、動く全てのマスをカバーします。この操作によってオペレーターにリスクがなくなり、試験を数秒で実行できます。恒温槽を備えた装置とは対照的に、HIT 230Fは、使い勝手の良さと数多くの試験をこなす落重試験機です。
