ISO 11608-5 オートインジェクター試験
ISO 11608-5規格は、自動機能を備えた針式注射システム(ハンドヘルドオートインジェクター)の自動機能に関する要件と試験方法を規定しています。
身体に装着する注射システムの適用範囲が特殊であるため、試験要件はハンドヘルドオートインジェクターの要件とは異なります。このため、身体に使用する針式注射システム(オンボディデリバリーシステム(OBDS))に関する要件と試験方法を規定する別規格ISO 11608-6が導入されました。
以下に、ISO 11680-5試験方法とツビックローエルが提供するオートインジェクター試験システムの概要を示します。大規模な生産バッチを扱う場合、時間とリソースを節約する試験プロセスが不可欠です。この目的のために、ツビックローエルは様々な自動化オートインジェクター試験システムを提供しています。
ISO 11608-5の目的 ISO 11608-5の概要 薬剤を使わずにオートインジェクターをテストするオートインジェクター試験システム 試験ソリューションの自動化 相談リクエスト
ISO 11608-5に準拠した自動注入器試験の目的
オートインジェクターは医療用デバイスであり、これによって患者に液薬を投与するため厳しい品質管理が要求されます。これまで、オートインジェクターは、医学的にトレーニングを受けていない人が薬物をできるだけ早く投与する必要がある時に主に使用されていました。例えば、アナフィラキーショックの際のアドレナリンの投与、戦場でのモルヒネやアトロピンの投与などで使用されていました。今日では、オートインジェクターの使用頻度は増え、以前とは違う使われ方をしてきています。
1つは経口ではなくインジェクションにあります、ここでの意味は、ある物質(例えばバイオ薬剤)は錠剤の形では投与できないことがあります、なぜならばこの薬剤は患者の消化器官で消化されてしまい血液にまで到達しないためです。もう1点はオートインジェクターはお医者さんのもう1つの手であることです。インジェクターは高レベルな安全性が求められます。
正しいインジェクションと適切な量の投薬が治療には不可欠な要素です。従って、製薬メーカーはオートインジェクターテクノロジーにより高度な自動化を模索しています。患者は単にキャップを外し、打ちたい場所へ持っていき、ボタンを押すだけで投薬されます。その後の注入プロセスは完全に自動化されています。つまり、生産バッチを市場にリリースする前に、関連するすべてのインジェクター機能を検査する必要があります。この試験はISO 11608-5に従って実施されます。
ISO 11608-5におけるオートインジェクターに必要な試験の概要
ISO 11608-5は、オートインジェクターに対する以下の試験を規定しており、ZwickRoellオートインジェクター試験システムを用いて自動的に実施できます:
- 安全キャップの取り外しにかかる上下方向の力
- オートインジェクターの機動力と変位(移動量)
- インジェクション時間の測定
- 投与される液薬の量、これには最後の1滴まで高分解能のスケールで測定
- インジェクションの際の有効な針の長さ
- ニードルシードルの安全性機能
- アクチュエーションボタンの有無でのインジェクション試験
- オートインジェクター/アクチュエーティングボタンの色の識別
- インジェクションのスタート/エンドの音の認識
- 設計による間違い防止(ポカヨケ)
- ロードセル、スケール、マイク、針の長さ、液体センサー、および色認識のデイリーチェック
- 周囲の湿度と温度の測定
ZwickRoellオートインジェクター試験システムの利点
- ZwickRoellの多機能オートインジェクター試験機を使用すれば、試験治具を変更することなく、単一の試験片に対してすべての試験を自動的に実施できます。これにより、ユーザーの影響を排除し、迅速なサイクルタイムを保証します。この試験機は、作動ボタン付きおよび作動ボタンなしのオートインジェクターに適しています。インジェクターキャップを上下方向に取り外すことで、最新の規格要件を満たす試験が可能になります。
- 試験システムは拡張可能で、追加試験に対応できるため、様々な市場ニーズや製品開発に対応できます。
- 5種類のデイリーチェックにより、信頼性の高い試験結果が保証されます。
- オプションのマイクを接続すれば、自動注入器のクリック音(注入開始と終了を知らせる音)を検知できます(フィードバック音)。
- 革新的なカメラベースの方法により、注入深度と注入時間を最高レベルの精度で測定できます。さらに、HDカメラを組み込むことで、液体の放出を記録することもできます。試験結果と画像を保存して、トレーサビリティーのサポートとして役立っています。
- 本機は、ISO 13849規格で定義された要件に準拠したモニタリング機構をオプションで装備できます。当社のtestXpert試験ソフトウェアは、これらの追加機能の制御と評価、および試験制御シーケンス全体を管理します。
- 大規模な生産バッチを扱う場合、時間とリソースを節約する試験プロセスが不可欠です。モジュール式の柔軟なロボットシステムにより、全自動の試験片供給が可能です。
- 拡張されたツビックローエルの適格性評価文書は、バリデーションサポート(DQ/IQ/OQ)に最適です。
薬剤を投与せずにオートインジェクターを試験する
オートインジェクターに使用される薬剤の中には非常に高価なものがあり、薬剤を用いた機能試験にも多大なコストがかかります。費用対効果の高い代替策として、薬剤を充填する前にインジェクターの機械的機能を試験することが挙げられます。
現実的な条件下で試験を実施するために、試験機には電気機械式サーボアクチュエータも使用されています。これは、通常オートインジェクター機構に作用する薬剤カートリッジの反力をシミュレートします。
機能試験では、オートインジェクターを試験機に設置し、testXpert試験ソフトウェアを使用して試験を開始します。その後、テストはテストマシン内で完全に自動的に実行されます。結果は、安全キャップを取り外すために必要な力またはトルク、および内蔵駆動ユニットのバネ定数の測定となります。結果の監視と計算も testXpert テスト ソフトウェアで実行され、完全に統合された FDA Part 11 オプションも提供されます。
より高いスループットを実現するために、このシステムにはツビックローエルの軽量ロボット「roboTest N」を搭載できます。
ISO 11608-5に準拠したオートインジェクターの自動試験
大規模な生産バッチを処理する場合、時間とリソースを節約する試験プロセスが重要になることがよくあります。ZwickRoellは、医療・製薬業界向けに幅広いアプリケーションをカバーするスケーラブルな自動化ソリューションを提供しています。
roboTest N:シンプルなアプリケーション向けの自動オートインジェクター試験
試験アシスタントroboTest Nは、シンプルなアプリケーションでユーザーをサポートします。典型例としては、30本程度のオートインジェクターを1つのマガジンへ配置し、自動で試験を実行します。このシステムは、特別なプログラミング知識を必要としないため、異なった試験要件に対して簡単かつ柔軟に適応させることが可能です。
roboTest R: 完全自動化されたオートインジェクターテスト
完全に自動化されたロボット試験システム roboTest Rは、キャップの取り外しから、自動インジェクターのテスト、テスト済み検体の廃棄、良品/不良品の選別まで、完全なテスト シーケンスを実行します。信頼性が高く比較可能なテスト結果を確保するために、測定機器は毎日自動的に検証されます (デイリーチェック)。複数のオートインジェクター試験システムを使用することで、roboTest R では大量の検体でも迅速かつ確実に処理できます。
FDA 21 CFR Part 11に適ったトレーサビリティー、改ざん防止の試験結果
- ソフトウェアには医薬品業界で近年重要の高まりを見せるドキュメンテーションのトレーサビリティーの機能が盛り込まれています。
- トレーサビリティーオプションでは、testXpert III は全てのアクション、試験前、試験中、試験後の変更、をログデータとして残し、試験結果やドキュメンテーションをトレーサブルにしていますので、改ざんなどの行為から全てを保護します。
- 電子記録や電子署名などの機能を備えたユーザーマネージメントは試験結果の改ざんを防止します。
- 個々のお客様の企業内部における徹底したプロセス管理とあいまって、このソフトウェア機能はFDAの21CFRパート11の要求を全て満たしたツールとして活用いただけます。
- ツビックローエルはさらにバリデーションの一環である(DQ/IQ/OQ)のサービスパッケージも提供しています。
- testXpert III はすべての試験、アクション、設定のデータログを記録、したがっていつでも質問には答えることが出来ます、”いつ、だれが、何を、なぜ、そして誰の責任で?”
testXpert IIIオプション
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